楽器の「基本奏法」、「脱力奏法」及び、「クセ」について

当教室では、初心から入られた方経験者として入られた方がいらっしゃいますが、生徒さんが体験レッスンにいらした時に、まず最初に見させて頂くのが、 「脱力ができているか」「クセを持っていないか」の2つです。

 

この2つが今後、どのようなレッスンを行っていくかを大きく左右しております。「脱力」につきましては、最初は大抵の方ができておりませんので、こちらは、レッスンの度に初めの「基礎練習」「体操」「イメージトレーニング」脱力のコツを少しずつ覚えていってもらいます。

現代の子供達は、学校習い事が忙しく、日々の練習時間を確保することが難しい為、いかに短時間の練習でテクニックを身に付けることができるかが重要になってきます。「脱力奏法」を覚えますと、短時間の練習でも上達が可能になります。

当教室では、楽器演奏の基本となる、この「脱力奏法」に特に力を入れてご指導しております。

 

「脱力奏法」「美しい音」を出すために不可欠な楽器の基本(打楽器や弦楽器なども共通)ですが、一番危険なのが、「クセ」です。こちらは、もともと力が入りやすい体質の方や、痩せている方が持っていらっしゃることが多く、軽度の方~重度の方まで大きな個人差があります。

 

何か特有のクセ(指がつぶれてしまう、手が突っ張ってしまう、鍵盤を叩きつけてしまう、体が勝手に無駄な動きをしてしまう、身体が反ってしまう、下半身が硬直してしまう、腰が浮いてしまう、すぐ手が疲れてしまう、ミスタッチが多い等々)を持っていると、クセに阻止されて、テクニックを付けることはできなくなりますので、まず「クセを修正」することから始めさせて頂きます。

幼少期にお箸や鉛筆の持ち方を間違って覚えてしまうと、成長してから矯正するのは大変なことですが、楽器のクセも全く同様のことが言えます。

 

(クセの多くは、脱力ができていない身体で、間違った奏法無理な練習を繰り返すことによって、発生します。)

 

「修正」といいましても、おおがかりなものではなく、最初の5分~10分くらいを使い、その方その方に合った処方箋(ご自宅で行う基礎練習なども含む)を作り、固まった身体をほどきながら(脱力させながら)特有のクセを取っていきます。

 

①【脱力ができている奏法】 

・フォームがしなやかで美しい。

 ・ 楽器と身体が一体化して見える。

・音色が柔らかく、イメージ次第で何種類もの音色が出せる。

・ミスタッチが少ない。

・テンポに安定感がある。

・何時間演奏しても手や腕が疲れない。

・短時間の練習で上達する。

 

②【脱力ができていない奏法】 

・フォームが固くぎこちない。

楽器と身体が分離して見える。

・音色が固く、一種類しか音色が出せない。金属音。

・ミスタッチが多く、手や身体がぶれやすい。

・テンポが一定しない。(走りやすい。)

・力が入ってしまう為、演奏していてすぐに手や腕が疲れてしまう。

・長時間練習しないと、身体が覚えられない。

               ↓

の状態で無理のある練習を繰り返すことにより、身体が間違った奏法を記憶してしまい、クセが付きやすい。

(の中でも軽度の方~重度の方まで個人差があります。)

又、テンポが走りやすい方の場合、リズム感を鍛えるため、メトロノームで練習されると良いと思われている方が多いのですが、走る原因の大部分が下半身の脱力ができていないことにある為、 原因を取り除かないまま、メトロノームで練習しても、ほとんど効果はありません。(下半身が安定すると、テンポも自然に安定します。)

 

スケール練習(音階練習)に関してましても、スケール練習を積めば、ミスタッチしなくなると思い込まれていることがよくあるのですが、こちらもミスタッチする原因が 脱力と大きく関係しているので、②の状態のまま、スケール練習を繰り返すと、かえってクセを強めてしまいます。

 

数カ月かけてクセを修正(脱力も含む)できたところで、やっとテクニックを習得できる身体になります。

(脱力奏法を習得した後に、楽器を演奏するのに必要な指の筋肉や神経、音楽性をゆっくり育てていきます。)

 

生徒さんの多くが実感されておりますが、クセを修正(脱力も含む)することにより、「演奏中の手の疲れ」や、「ミスタッチ」は劇的に減ります。  しかし、その後も「クセ」は常に付きやすいものなので、特にピアノを習いはじめは一番注意しなくてはなりません。

 

教室では、講師が長年、脱力を基盤とした、指に負担をかけさせない、成長と共に、ピアノを弾くための神経や筋肉が育つ奏法を研究しており、 小さいお子様にはバーナム等のテクニック教本を用いて、その奏法を指導致しております。 
この奏法が自然に身に付きますと、その後、中高生になってもつまづくことなく高度なテクニックを要する難曲が弾きこなせるようになります。